素晴らしき世界、その後

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素晴らしき世界 (おしまい)

遠くに離れていても繋がっていける。
大丈夫、大丈夫。
そう自分に言い聞かせて、
彼氏のいないこの数年を、
のんびりと過ごしていこうと思う。
この世界は本当に素晴らしい。
そう思わせてくれたのは、彼氏だから、
彼氏が帰ってくるのを、
ずっと待つんだ。

早く帰ってこい。
そして、もう一度、一緒に暮らそう。

(おしまい)



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いってらっしゃい

関西空港についてチェックインを済ませた僕らは、
いつもみたいに、なにげない話をして、笑ったりして、
このまま何年も会えなくなるなんて嘘みたいに時間をつぶした。

でも、3Fのそじ坊で、蕎麦をすすっていたら、
「俺、向こうでちゃんとやっていけるか不安でさ」って、
彼氏が急に弱音を吐き始めたから、
「とか言って、そのうち日本に帰りたくなくなるくらいになるよ」
って勇気づけた。
そしたら、彼氏も元気が出たみたいで笑ってた。

よかった、強くいられて。
僕まで弱くなったら、ふたりしてどうしようもなくなってしまう。


で、そろそろ搭乗口に行かなくちゃいけない時間が来て、
なんか、昨日の夜に映画のようなお別れシーンを想像していたんだけど、
出発口がすごい混んでて、「ヤバイ!間に合わない!」とかヒヤヒヤして、
ゆっくりと言葉を交わすまもなく、彼氏はゲートに入っていった。
最後にちゃんと握手して「いってらっしゃい」とは言ったけど。
彼氏も「いってきます」とは言ったけど。
なんか、バタバタのままのお別れになった。

僕は昨日の夜に心に誓った。
明るく、笑顔で見送ってあげようと。
今生の別れじゃないんだ。たった数年会えないだけだから。
そう思って。彼氏に気分良く旅立ってもらおうと思って。
だから、最後まで笑顔でいられたのだが、
彼氏の姿がなくなった途端に、今までここにいた人がもういないという現実を知って、
涙が止まらなくなって、どんどん溢れてきて、
どうしようもなかったから、待合ベンチの片隅でうずくまって、
声を潜めて泣いた。

あした

春らしい陽射しの町をふたりで歩いていたら、
出会った日のことを、ふと思い出した。

11年前。
春のまだ肌寒い日。
あの日、クラブのフロアの隅に佇んでいた僕に、
彼氏が話しかけてくれたから、
それから、僕の毎日は色つきになって、
こんなにも温かい日々がやってきた。

いろんなことがあった。
いろんなことを、ひとつひとつ思い出したら、
僕は「ああ、大丈夫だ」と思った。

大丈夫、僕らはちゃんと繋がっていると思った。
だって、こんなにも共有した時間があって、
こんなにも共有した気持ちがあるんだ。


今日は彼氏の荷造りや携帯の解約やその他諸々の手続きにつきあった。
海外に行くというのは、何かとわずらわしいことが多い。

「なあ、これってどうやったらいいのかな?」

あまりそういうのが得意ではない彼氏は、いちいち僕に訊いてくる。
たぶんタイに行っても、あれやこれやと僕に訊いてくるのだろう。

「向こうの住所が決まったら、これとこれを送って」
「日本の書類は全部おまえのとこに行くようになってるからチェックして」
「まだ来月にならないとできない手続きがあるから、お願いするよ」

お父さんが亡くなって、お母さんが他の男の人と一緒に暮らしている彼氏には、
帰国して帰れる場所は、僕のこの部屋しかない。

「帰る場所はここしかないんだから、しっかり家を守っていてや」

単身赴任。
僕らは「結婚届」という紙切れなんてなくても、
男女でいう夫婦のように、あるいはそれ以上に、ちゃんと繋がっている。

明日、彼氏が発つ。
「いってらっしゃい」
明日は笑顔で見送ろうと思う。

僕ららしい一日

さくらの開花は来週になるらしい。
間に合わなかったね。
でも、写メとって、メールで送るよ。

出発はあさって。
ゆっくりとふたりの時間を持てるのは、明日が最後になる。

明日はね、普通の一日にするんだ。
僕らが今まで暮らしてきたように、なにげないいつもの生活。

テレビ見て、笑って、手をつないで寝て。

僕らの、僕ららしい一日。

時間

時間は均一に流れてなんかいない。

この数か月、それを痛感した。
時間が過ぎるのが、ものすごく早かった。
しかも、彼氏のタイ行きが近づくにつれて、加速度的に早くなった。

あと一週間。
僕らに残された時間。

このわずかな時間を大切にしようと思う。

今もやがては過去になる

ようやく前に住んでた部屋の掃除その他諸々が終わった。

大型家具を処分したり、リサイクルできるものはリサイクルしたり、
彼氏の専門書を実家送ったり。

5年間僕らが築き上げた、僕らだけの王国は、
きれいさっぱり片付いて、無機質な不動産物件に戻った。

思い出がいっぱい詰まった部屋。
もう、この部屋で寝ることも、テレビを見ることも、笑うこともないのか。
そう思ったら、じんと胸が痛くなった。

時間は流れている。今もやがては過去になる。

泣いた

朝、起きたら、彼氏が静かに泣いてた。

「行きたくない。離れたくない」

ツライのは僕だけじゃない。

逆に

逆に、彼氏の方が心配になってきた。

あまり口を挟み過ぎてもよくないと、
彼氏のタイに行く準備のことはあまり触れずにいたのだが、
世ずれしているというか、なんというか、
「日本じゃないねんで!何があるかわからんねんで!」
と、大声をあげてしまった。

保険も住宅の手配も、何も進んでへんやん!
「大丈夫。なんとかなるやろ」
「なんとかならないのが、海外なんやって!」

って言ったら、

「なんかそう言われたら自信なくなってきた…」

ってヘコんでしまった…

ヘコんでる場合じゃないと思うんだけど…
(僕が心配しすぎなんかなー?)

大丈夫なのかなー?
僕自身のことも心配だが、
彼氏のことが、もっと心配になってきた…。

よろしくお願いします

僕の友達、
彼氏の友達、
僕と彼氏の共通の友達、
昔馴染みのゲイバーのママ。

そんな人たちに、彼氏が深々と頭を下げる。
「俺がいない間、どうか●●(僕のリアルの名前)をよろしくお願いします」

彼氏がいなくなっても、彼氏の人脈や人徳に、
僕は守られて、生きていくのだ。

彼氏が僕の彼氏でよかったと心から思う。

あっという間

「彼氏がタイに行く」

そう言ったときの相手の反応が、
自分が思っている以上に深刻になることが多い。

たぶん、当事者でない人が客観的にみたら、
僕らの未来には明るいものが見出せないのだろう。

昨日、2年ぶりに会う友達と飲みに行った。
学生時代からのゲイ友で、昔は一緒に飲みにも行ったものだが、
このところ、忙しさを理由に疎遠になっていたのだ。

でも、2年ぶりって感じがしない。

「えー、あれって2年前やっけ!?」
「ついこの前って思ってた」

2年なんて、あっという間だ。

彼氏が帰ってくるのが何年先になるかわからないが、
きっと終わってみれば、「あっという間」って笑って言えるのだろう。

春風邪

彼氏が風邪をひいた。

朝起きたら、すごい熱でびっくりした。
それで、葛根湯と栄養のあるものを買ってきて、口に入れさせた。
冷えピタの感触が嫌いというから、ハンドタオルを何度も絞ったりした。

「アイスクリームを買ってきて」
「栄養剤がほしい」
「エアコン消して」
「エアコンつけて」

わがままな彼氏だから、看病が大変だ。
タイで風邪ひいたらどうすんのさ。

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