素晴らしき世界、その後

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素晴らしき世界、その後 (おしまい)

そして、僕は書くことをやめようと思う。
また、書きたいと思う日がくるまで。

その日が来るまで。




 (おしまい)

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暗闇

彼氏が帰って、Tと別れた。

泣きそうだった。


たぶん、Tがいなければ、彼氏がタイに行ってからの孤独な世界に、
僕は途方に暮れていたのだと思う。

救ってくれたのはTだ。


そんなTと、僕は別れた。


僕は強くないし、清らかな人間でもない。
闇の中でただもがくだけの、どうしようもない人間だ。

答え

わかりきってたはずなのに。

答え

それは、最初からわかりきってたことなのに。


須磨海岸

最後の休日は神戸の須磨海岸に遊びに行った。

13年前、
僕らがはじめてデートした場所だ。

須磨浦公園の釣り場で釣りをしたり、
そこから須磨の砂浜まで海沿いをぶらぶら歩いたりした。

「秋に帰って来たときには、しろうま(白馬岳)に行こうか」
彼氏が歩きながらそう言った。
しろうまというのは、3年前にふたりで登った山だ。

離ればなれだけど、僕らにはたくさんの思い出がある。
この先、一緒にやりたいことがある。
そんな過去や未来を、捨てられるわけがない。

どうして、ひとときでも、
彼氏と別れられると思ったのだろう?

そんなこと、
最初からわかりきってたことなのに。

高野山

日本的なところに行きたい。
そういう彼氏のリクエストで、高野山に遊びに行った。

金剛峰寺、奥之院。
ゆっくりと寺をまわって、宿坊で宿をとった。

部屋から見える庭が広くて、きれいで。
夕食は精進料理。胡麻豆富がびっくりするくらい美味かった。

「これ以上、日本的なとこはないね」
彼氏もたぶん満足してくれたと思う。

僕はどこでもよかったのだけれど。
海でも山でも、寺でも遊園地でも、どこでも。

彼氏と一緒なら。


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彩り

そして、彼氏が帰って来た。
3週間と、けっこう長い帰国だった。

彼氏の顔を見たとき、胸が張り裂けそうになった。

罪悪感。

彼氏もそんな僕をなんとなく見抜いていたらしく、
「なんか様子がおかしい」としきりに言っていた。
「おまえ、浮気とかしてる?」って、冗談っぽく詮索入れてみたり。

そして、彼氏は僕の「強張り」をほぐすのに必死だった。
必死で笑わそうとしてくれた。

ある日、彼氏が花束を買ってきた。
「部屋に花がないと、生活がすさんでしまう。だから、俺が帰ったあともずっと花を置くように」

彼氏が買ってきた色とりどりの花は、本当に、艶やかで、
それまで殺風景だった僕の部屋に、彩りを与えた。

彼氏は花が好きだ。
顔に似合わず、というと怒られるけれど。
そして、僕が好きだったのは、この人のこういうところだったな、と思った。


彼氏がいなかった一年間、僕の生活は白黒映画みたく無彩色だった。
それは、Tと一緒にいても変らなかった。

僕の人生に彩りを与えてくれるのは彼氏だけだ。

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