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「ただいまあ!」
おかえり。
おかえり。
おかえり。
おかえり。
そして明日、
この町に、
彼氏が帰ってくる。
暖かくなったと思ったら、また急に寒波がやってきて、
もう要らないと片付けたコートを引っ張り出した。
あと3日ほどでこの寒さも抜けて、
そしたら本格的な春が来るらしい。
このところ、
僕は離れ離れだったこの8年間の意味を考えている。
長くて暗くてゴールが見えない年月だったけれど、
この忍ぶ月日がなければ、
僕らはお互いの大切さを知ることもなく、
きっと駄目になってしまってたんじゃないか、とも思う。
まあ、結果論ではあるけれど。
あとすこしで、僕らの長かった冬が、終わる。
桜のつぼみがパンパンに膨らんでいる、
3月22日。
帰り道にレミオロメンの3月9日を口ずさむ。
花咲くを待つ喜びを
分かち合えるのであれば それは幸せ
彼氏がやっと引越しの作業に入り、
今、段ボールにまみれて生活をしているという。
明後日には向うの部屋を引き払い、
そして月末ギリギリにこっちに荷物が届く。
その頃には満開であろう桜を見る喜びを、
分かち合えるのであれば、
それはきっと。
彼:「そっち行ったら毎晩走るぞ!」
僕:「ええ~しんどい」
彼:「んにゃ、走る!これからは健康がテーマなわけ」
僕:「仕事忙しいし、時間もないし」
彼:「駄目っ!」
8年間ずっと離ればなれだったんだから、
あと2週間なんて、屁みたいなもんでしょ?
なんてことには、ならない。
この部屋は、
ひとりで暮らすには、広すぎる。
引越しから1週間が経ったものの、
まだ、自分の家という感覚はなく、
他人の部屋に泊まらせてもらってる感じ。
そんな違和感。
ひとりだから余計にそう感じるのかな?
☆ ☆ ☆
彼氏は海外出張に行っていて、
街角スナップなんかを毎晩メールで送ってくる。
「お土産はGETしましたよん」だって。
いい気なもんだ。
こちとら年度末で神経すり減らしてるっていうのにさ。
とにかくあと2週間。
知ってる人の恋愛が終わった。
けっこう長かったので、びっくりしている。
終わることを選ぶのも、人生。
終わらないことを選ぶのも、また人生。
うちらの場合は、
終わらないことを選んだというよりも、
終わることを選んでこなかった、と、言うほうが近いのかも。
それもまた、人生。
彼氏のお母さんの体調がよろしくない。
それで、向こうの家を引き払ったら、様子を見に一度実家に帰るらしく、
引越しを1週間ずらしたのだそうだ。
そんなわけで、彼氏がこっちにやって来るのは3月末ギリギリになる。
まあこの年の親の世代なので、何があってもおかしくない。
実際、うちの親だってずいぶん弱ってきているし、
前にも言及したけれど、問題をいっぱい抱えている状況なわけで。
「今までは自分たちのことだけを考えて生きてこられたけれど」
と、彼氏は言う。
「お互いこういうのが増えてくるんだろうし、
これからが本当にふたりの度量と覚悟が試される年代なわけよ」
本当にそう思う。
お互いの苦難のときに、どうお互いを支えながら生きていけるか、
これからが僕らの本番だ。
引越し完了。
各種の手続きはまだ残っているものの、
荷物の整理もだいたい終わって、なんとか生活できるようになった。
あと2週間もすれば、
彼氏がやってきて、また騒々しい日々がはじまる。
ふと、思う。
ええんやろか、ほんまに。
そのうち、痛いしっぺ返しが来るんとちがうやろか。
僕の人生の中で、めずらしくうまくいってるから、
なんか、不安になる。
幸せ貧乏。
彼氏が、キーホルダーを買うと言いだした。
それも、そこらへんの観光地で売ってそうなやつじゃなくて、
ちゃんとした、それなりの値段のやつ。
新生活をはじめるにあたって、彼氏のぶんと、僕のぶん、
お揃いを買いたいんだそうだ。
どうやら、彼氏のこだわりどころは、そこらしい。
19年つきあっているけれど、よく分からないことが、まだいっぱい、ある。
「輪っかのやつと、カバーがついてるやつと、どっちのタイプがいい?」
彼氏は彼氏で、
新しい生活に何か期待するものがあるのかもしれない。
今、段ボールに囲まれている。
僕は、この週末で引越し。
彼氏はまだ向こうでの仕事が残っていて、月末に引越してくる。
2週間くらいは、新しい部屋に僕ひとりで暮らす、というわけだ。
長年暮らしてきた、この汚い部屋を見渡してみて、
新しい生活がはじまるワクワクした感じよりも、
何かが終わっていく寂しさのほうが、今はまだ強くて、
なんだかんだ言いながらも、案外、この暮らしが気に入っていたのかも、と、
今になって思う。
まあ、引越してしまえば、
こんな感傷なんて、どっかに吹き飛んでしまうんだろうけれど。